味噌汁 大豆パワーと塩分作用、どちらが強い?
味噌の製造には大量の塩が使用される。
味噌汁1杯には、米国心臓協会の推奨する1日当たりの塩分摂取量の半分もの塩分が含まれており、メニューなどに味噌汁が載っていると、血圧等の事を考え反射的にそれを避けていたと言う方も多いかと思います。
しかし、味噌汁についてよく調べてみると、全く思いがけないことが判明しました。
胃がんと高血圧を防ぐために塩分を控えている方も多いと思います。
塩の過剰摂取は、胃がんの「推定原因」と考えられ、喫煙や過度な飲酒によるリスクと同じ程度だが、毎日肉を食べることに比べれば半分程度のリスクと言われている。
そのため、肉を多く摂取する欧米では毎年胃がんが数千件も発症している。
約50万人を対象としたある研究では、肉(トランプ1組程度の大きさ)を毎日食べると、胃がんのリスクが5倍も高くなることが明らかになった。それに比べて菜食中心の人々は、胃がんのリスクが低いのもそれで説明がつく。
しかし、胃がんのリスク上昇に繋がるのは、加工肉食品や塩漬けの魚など、塩分を多く含む動物性食品だけではない。その点では、塩漬けの植物性食品も同じなのだ。キムチは塩分と香辛料の効いた漬け物で、韓国料理には欠かせない副菜であることを考えれば、韓国の胃がんの発生率が世界で最も高いのも納得がいくとおもいます。
ところが、味噌は胃がんのリスク上昇には繋がらないことがわかりました。塩分摂取は胃がんのリスクを上昇させるが、大豆製品の味噌や味噌汁の具で人気の豆腐の摂取は、リスクを低減させることが分かっており、大豆と塩の間には相殺効果が生じると考えれば説明がつきます。更に、味噌汁には胃がんの予防効果のある長ネギや玉ネギが加えられることが多い為、抗がん作用が高くなるものと考えられる。

しかし、人々が塩分を控えるように指導される最大の理由は、がんを防ぐためではない。味噌汁と高血圧の関係はどうなっているのか?
どうやら同じような関係にあるようだ。例えば、豆乳とスキムミルクの効果を比較すると、大豆はスキムミルクに比べて血圧を下げる効果が約9倍も高いことがわかる。
大豆には、味噌に含まれる塩分の作用を打ち消すほどの高い効果があるのか、日本の研究者たちがそれを確かめる研究を行った。
実験開始時に正常血圧を示した60代の男女を無作為に2つのグループに分け、4年以上に渡って追跡調査をおこない、一方のグループは1日2杯以上の味噌汁を飲み、もう一方のグループは1日1杯以下の味噌汁を飲むことで、どちらが高血圧と診断される確率が高いかを調べたのだ。
1日2杯の味噌汁を飲むのは、毎日食事に小さじ1/2杯の塩を加えるのと同じ計算になるが、1日2杯の味噌汁を飲んだ人たちは、高血圧になるリスクが5倍も低くなったことが明らかになった。研究の結論では次のように述べている。「我々の味噌汁の研究結果によって、味噌汁による降圧作用は、塩により血圧上昇を上回る可能性が高いことが明らかになった」と発表。そのため、味噌汁には高血圧の予防効果があると言える事が明らかになった。