酵素とはどんな働きをするものか?

酵素とはどんな働きをするものか?

酵素をたっぷり摂る、酵素ダイエット。よさそうだけれど、酵素を摂ると痩せたり、代謝がアップするのはなぜ?と思う人も多いことでしょう。
ここからは詳しく、酵素がどんな働きをするかど説明していきます。

酵素は生命維持に欠かせない栄養素

酵素とは、動物や植物などあらゆる生命体が生きていくのに欠かせない栄養素。8大栄養素と呼ばれる、「炭水化物(糖質)・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊 維・ファイトケミカル・水」に続く、第9番目の栄養素です。

人の体には、もともと酵素が存在しています。食べたものをエネルギーに変えたり、老廃物を体外に排出するなどの働きや、呼吸をしたり、手足を動かすといった動作も、酵素の力がないとできません。ほとんど生きるためのすべての活動は、酵素の働きによって行なわれているのです。
8つの栄養素が「資材」であるならば、酵素はあらゆる「作業員」に他なりません。家を建てるときに資材はたくさん必要ですが、どれだけあっても設計士や大工、左官屋さんなど作業員がいなくては家は建ちません。人体を家にたとえると、酵素はその建設現場の作業員に該当するのです。
このように重要な酵素は、体内で生産されてはいますが、1日に生産できる量には限りがあります。また、年齢とともに生産量は減ってしまいます。
これをたとえるならば、携帯電話などのバッテリーです。新品の頃は充電すれば丸1日使えたのに、経年劣化するとフル充電しても半日しかもたなくなったりします。古いバッテリーほど、マメに充電しなければいけなくなります。
酵素も、年齢とともに体内での生産量が減ってくるため、積極的に食物から取り込む必要があるのです。 ところで、酵素はホルモンと勘違いされて、外から摂ると体内では作られなくなるのかと聞かれることがあります。確かにホルモンは外部から摂取すると体内では作られなくなりますが、酵素はまったく違います。むしろ逆で、外から摂ることにより体内の酵素は温存され、健康になっていきます。その理由はあとで述べますが、一言でいうと酵素のキャパシティがあり、それを温存できるからなのです。

酵素には3つの種類がある

人の体に関わる酵素には、体内で作られる「潜在酵素」と、食事によって体内に取り込まれる「食物酵素」とに区別されます。
中でも、体内で生産される「潜在酵素」は、体内でのどんな活動に使われるかにより「消化酵素」「代謝酵素」に振り分けられます。
この3つの酵素は、それぞれ次のような特徴を持っています。

【消化酵素】
潜在酵素のひとつ。食物の消化・吸収活動に不可欠。消化器官で分泌され、食物に含まれる栄養素をエネルギー源として腸壁で吸収できるように小さな分子にまで切り分ける。

【代謝酵素】
潜在酵素のひとつ。生命活動に重要な役割を果たす。腸壁で吸収された栄養分子をエネルギーに変え、免疫力や自然治癒力の維持、細胞の修復、神経やホルモンバランスの調整を行なう。

【食物酵素】
生の野菜、フルーツ、魚や肉など、あらゆる食物に含まれる酵素で、食事によって体内に取り込まれる。体内で自己消化し、体内で生産される消化酵素をサポートする。

酵素を摂るとなぜ代謝が上がるの?

さて、酵素の種類と役割がわかったところで、いよいよ「なぜ酵素を摂ると代謝が上がって痩せるのか?」をご説明しましょう。
前述の通り、酵素の生産量は1日一定量しかなく、人間はその一定量を消耗して生きています。その一定量の酵素は、消化酵素代謝酵素に分かれ使われます。しかし、消化にエネルギーをたくさん使う食べものや、食べもの自体に酵素が入っていないものを摂ると、一定量の酵素が消化のためばかりに消耗され、代謝に回るべき酵素が少なくなってしまいます。
代謝に使われる酵素が少ないと、あらゆる代謝行為(細胞の入れ替え、再生、解毒、排泄、エネルギー運動、免疫など)がおろそかに!この状態は、さまざまな病気の原因になり、また、解毒・排泄が失われた結果、体には脂肪がどんどん蓄えられていきます。

消化酵素をムダ遣いせず、代謝酵素をしっかりと機能させる。痩せたい人は、この環境が作ることが大切です。そのためには なんといっても消化酵素の消耗を少なくしなくてはなりません。

具体的には、少食にし、酵素をたっぷり含む生野菜やフルーツ、味噌やぬか、納豆などの発酵食品を多く摂り、消化を心がける事が第一です。肉や魚などの動物性たんぱく質や甘いお菓子は、消化酵素をたくさん使うので控えめにすること。酵素を摂取し、浪費しない食生活が健康なスリム化 の最大のカギといえます。

酸素は1日一定量。太っている人は、過食や消化の悪い食べものにより消化酵素をムダ遣いし、本来代謝に 使うべき酵素まで使ってしまっている。痩せている人は、消化酵素を消耗しすぎない食生活により代謝酵素が 本来の働きに使われ、代謝がよい。

酵素の活性化と死滅

酵素は生きた栄養素。環境によって活性化したり、逆に死滅してしまうことがあります。このことは酵素食を作るうえでポイントになりますので、覚えておきましょう。
酵素はたんぱく質と脂肪でできた細胞膜に包まれています。すりおろし器などですりおろしたり、ミキサーで攪拌すると、この細胞膜が破け活性化するため、吸収しやすくなり ます。生でそのまま食べるより、すりおろしやジュースが効率よく酵素を摂れるわけです。
また、酵素は熱に弱いのも特徴。もっとも活性化する温度は40度から48度。53度以上に 加熱されると活性力を失ってしまいます。そのため、加熱調理は基本的にNG。50度以下 で2分以内、温める程度の調理なら酵素が失われませんので、必要な場合は50度調理を行なってください。なお、冷凍した場合も酵素は激減します。
さらに、生の野菜やフルーツの場合、カットしたり調理してから時間が経つと、酵素は酸化し、どんどん死滅していきます。したがって、市販のカットフルーツやカット野菜には、ほとんど酵素が残っていないと考えられます。

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