酵素の働きと、健康との深い関係

酵素の働きと、健康との深い関係

私たちの体の中では、毎日数えきれないほどの化学反応が起こっています。
その一つひとつをスムーズに進めているのが酵素です。
酵素は、栄養をエネルギーに変え、代謝を促し、老廃物を排出するなど、健康維持に欠かせない存在。
しかし、加齢や食生活の乱れによって体内の酵素量は減少し、代謝の低下や疲れやすさにつながります。
この記事では、酵素の働き健康との関係をわかりやすく解説し、毎日の食事や生活の中で酵素を活かすポイントをご紹介します。

🧬 まずは知っておきたい、酵素の基本

酵素とは、動物や植物などあらゆる生命体が生きていくうえで欠かせない栄養素です。
8大栄養素と呼ばれる「炭水化物(糖質)・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維・ファイトケミカル・水」に続く、第9番目の栄養素ともいわれています。

人の体にはもともと酵素が存在しており、食べたものをエネルギーに変えたり、老廃物を体外に排出したりする働きのほか、呼吸・運動・血液循環など、生命を維持するあらゆる活動を支えています。
つまり、生きるためのほとんどの活動は酵素の力によって行われているのです。

8つの栄養素が「資材」だとすれば、酵素はそれを使って家(体)を建てる「作業員」にあたります。
資材がどれだけ揃っていても、設計士や大工、左官職人といった作業員がいなければ家は建ちません。人体を家にたとえると、酵素は体の建設現場を動かす存在なのです。

🔋 体内で作られる酵素の限界と、外から補う大切さ

このように重要な酵素ですが、体内で生産できる量には限りがあります。
しかも年齢とともにその生産量は減少していきます。

これはまるで携帯電話のバッテリーのようなもの。
新品の頃は一日中使えたのに、年を重ねるとフル充電しても半日しかもたなくなる──
酵素も同じように、加齢とともに消耗しやすくなるのです。

そのため、私たちは日々の食事から酵素を補うことが大切です。
ここでよくある誤解が「外から酵素を摂ると、体内で作られなくなるのでは?」という疑問。

確かにホルモンは外部から補うと分泌が抑制されますが、酵素は逆
外から取り入れることで体内の酵素を温存し、結果的に体の代謝や免疫のバランスを整える助けになります。
つまり、外部からの酵素摂取は、体内の「酵素キャパシティ」を守ることにつながるのです。

🔍 酵素の3つのタイプと役割

酵素はその働きによって、大きく3つのタイプに分けられます。
それぞれが役割を分担しながら、生命活動を支えています。

酵素の種類 主な役割
消化酵素 食べ物を消化・吸収しやすい形に分解します。胃や腸などの消化器官で働き、食べた栄養素をエネルギー源として吸収できる形に整えます。
代謝酵素 吸収した栄養をエネルギーに変え、免疫や解毒、細胞修復など体の再生に関わります。体調維持や美容、免疫機能の働きにも重要です。
食物酵素 生野菜・果物・魚介類などの食材に含まれ、体内の消化酵素をサポートします。外から摂取することで、消化酵素の節約にもつながります。

これら3つの酵素は、どれも欠かせない役割を担っています。特に食物酵素を外から取り入れることで、体内の潜在酵素を温存し、消化と代謝のバランスを整えることができます。

⚖️ 酵素を摂るとなぜ代謝が上がるの?

体内で作られる酵素の量は1日あたり一定です。
限られた酵素は「消化酵素」と「代謝酵素」に分かれて働いており、そのバランスが崩れると代謝が低下します。

例えば、脂っこい食事や甘いお菓子、酵素をほとんど含まない加工食品を多く摂ると、消化に多くの酵素が使われてしまい、代謝に回す酵素が不足します。
その結果、細胞の再生や老廃物の排出、免疫機能の維持などが滞り、疲れやすさ・体脂肪の蓄積・肌荒れなどにつながります。

酵素の無駄遣いを防ぎ、代謝を活発にするためには、次のような生活習慣がポイントです。

  1. 少食を心がける
    食べ過ぎると消化酵素が大量に使われてしまいます。
    「腹八分目」を意識することで、余った酵素を代謝に回すことができます。
  2. 生野菜や果物をたっぷり
    生の食材には食物酵素が豊富に含まれています。
    これらを摂ることで、体内の消化酵素を節約でき、代謝酵素をしっかり働かせることができます。
    味噌・ぬか漬け・納豆などの発酵食品もおすすめです。
  3. 動物性たんぱく質や甘いお菓子を控えめに
    肉類・乳製品・砂糖などは消化に多くの酵素を必要とします。
    摂りすぎると消化にエネルギーが偏り、代謝機能が低下する原因になります。

このように、酵素の消耗を抑え、食物酵素を上手に取り入れることが代謝を高めるカギになります。

🌱 酵素を活かすための工夫

酵素は"生きた栄養素"であり、環境によって活性化したり、逆に失われてしまうことがあります。
次のポイントを意識して、酵素を最大限に活かしましょう。

  1. すりおろし・ミキサーで活性化
    酵素はたんぱく質と脂質でできた細胞膜に包まれています。
    すりおろしたり、ミキサーで攪拌することで膜が破れ、酵素が活性化して吸収されやすくなります。
  2. 調理温度は40〜48℃が理想
    酵素が最も活発に働くのは40〜48℃
    一方で、53℃を超えると働きを失うため、50℃以下・2分以内を目安に温めるのがおすすめです。
    「低温調理」や「すりおろし調理」を取り入れましょう。
  3. 冷凍や長時間の放置は避ける
    酵素は熱だけでなく、酸化や冷凍によっても減少します。
    生の野菜や果物はカットしたらすぐ食べるのがベスト。
    市販のカットフルーツにはほとんど酵素が残っていないこともあります。

この3つを意識することで、毎日の食事から酵素をしっかり取り入れ、体の内側から代謝をサポートできます。

🌞 まとめ

酵素は、私たちの体のあらゆる働きを支える"影の主役"です。
外から補い、体内酵素を守ることで、代謝・免疫・美容のバランスを整えることができます。
毎日の食事の中で「酵素を活かす工夫」を続けることが、健康で美しい体を保つ近道です。

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